2008-01-01から1年間の記事一覧

今そこにある食材の危機〜「ひとり暮らしのシンプル料理」を読みました。

平田真紀 農文協 ひとり暮らしを始める人に一冊だけ料理の本を勧めるとしたら、間違いなくこれがおススメである。 料理の本も好きで、かなり読んだ。 料理には、料理を作って金を取る「プロ」の料理(料亭やレストラン)と家庭料理の2種類がある。 プロは、…

良質の歴史ミステリ〜「ダンテ・クラブ」(上・下)を読みました。

M・パール 鈴木恵 訳 新潮文庫 何と言ってもこの「ダンテ・クラブ」の醍醐味は、アメリカの誇る大詩人、ヘンリー・ワズワース・ロングフェローに会えることである。 このロングフェローとオリヴァー・ウェンデル・ホームズ(法律家のジュニアではなく、その…

スパイのコロンボ、チャーリー・マフィンシリーズの「城壁に手をかけた男」(上・下)を読みました。

フリーマントル 戸田裕之訳 新潮文庫 いつも足に痛みを感じ(靴が合わなくて)、着たまま寝たようなスーツのさえない中年、チャーリーは、実は凄腕の英国情報部員である。 今回は、ダラスで起きたJFKの暗殺事件の現代版みたいな感じである。もっとも、殺…

宇宙の発見〜「マンガ ホーキング入門  天才物理学者の人生とその宇宙論」を読みました。

J・P・マッケボイ 文 オスカー・サラーティ 絵 杉山直 訳 ブルーバックス 1962年、ケンブリッジの大学院に進学が決まっていたホーキングは、靴紐がうまく結べないことに気づいた。おわかりの通り、ALSにかかってしまったのだ。余命2年と宣告された…

最強のチーム、鹿島アントラーズの創造主〜「ジーコ自伝 『神様』と呼ばれて」を読みました。

ジーコ・著 浜田英季・監訳 朝日新聞社 ○ 今年のJリーグは、鹿島アントラーズの優勝で終わった。やった〜〜!イェーイ!・・・あ、失礼。 この鹿島アントラーズを創ったのは、ジーコであり、監督から離れた今もジーコのチームである。(今は相談役とか何と…

アヴォンリーに帰る〜「アンの青春」を読みました。

モンゴメリ 中村佐喜子訳 角川書店 赤毛のアンの最後で、奨学金を得たにもかかわらず大学進学を一旦あきらめてアヴォンリーの学校の先生になったアン。これはその教師生活とアヴォンリー村のあれこれとからませて書いたものである。 社会人になったせいか、…

グリーンゲイブルズへ帰る〜「赤毛のアン」を再読しました。

モンゴメリ 中村佐喜子訳 角川書店 同じ本でも、読んだ時期等により与える感動が違う。 以前は読み飛ばしていた部分が、経験を通してぐっとくるようになるのだ。 実を言うと、虫もアンのように、想像力豊かな子だった。 アンと同じく、お話をぶつぶつとつぶ…

ワクワク感がビジネスの基本〜「ワクワクするビジネスに不況はない」を読みました。

小阪裕司 知的生き方文庫 三笠書房 今、大阪にいる。 この巨大な商業都市で、「お笑い」文化が栄えているのは、偶然ではない。 商いはちょっぴり人を楽しませる事にあるのを、大阪人は知っているのだ。 自分がワクワクすることを仕事にする。自分のワクワク…

怠けることも大切だ!・・・「働かない〜『怠け者』と呼ばれた人たち」を読みました。

トム・ルッツ著 最近のテレビ番組やニュース等で目立つのが、「ニート」とか「ワーキング・プア」とかをいかに更生させるかという話題である。フリーターや派遣社員などの非「正社員」をなんとかしようという、いささか、十字軍めいた社会運動の存在を感じる…

こういう依存症もある・・・ロン・ガレンの「マネー中毒」を読みました。

徳川家広・訳 光文社 【依存症について】 あるモノ(とか)との適正なつき合い方ができないことを依存症と言っていい。 それが、合法か非合法か、依存の度合いの強弱により、様々な依存症がある。 非合法なものは、法律で規制しなければならないほど、依存の…

ヨーロッパにおける多様性の開花〜「ヨーロッパ市民の誕生〜開かれたシティズンシップへ〜」を読みました。

宮島喬著 岩波新書 ヨーロッパといえば、イギリス、フランス、スペインとか〜? いや。確かに「国家」としてはそうだけど、「くに」は違う。 「イギリス人」のうち、イングランド以外の、アイルランド人、スコットランド人、ウェールズ人はくにが違うと言う…

裁判員制度について〜「裁判員制度がよ〜くわかる本(日本一わかりやすい裁判員制度入門)」

「開かれた裁判制度」研究会著 秀和システム 裁判員制度がいよいよ始まる。 重大犯罪について、一般市民が裁判官と協議して、判決を下す制度である。 市民の裁判参加には、アメリカとかイギリスで行われている陪審制と、ヨーロッパで行われている参審制があ…

奇想天外の設定の妙〜トニー・ケンリックの「三人のイカれる男」を読み返しました。

トニー・ケンリック 上田公子訳 角川文庫 昔、陪審員を扱った映画で、「12人の怒れる男」というのがあった。 この題名は、明らかにそれをパクっているが、全く関係ない。 「イカれる」とは、イカレているという意味で、怒っているという意味ではない。あ、…

「『脳にいいこと』だけをやりなさい!」についての追加。

感謝や許しといった愛の感情は心臓を膨らませて心拍リズムを一定にします。 そこでこういった感情を大切にする事によって、幸せの度合いを上げることができるのです。 人の幸せを願うことも単純ながら、効果的です。 スカーレットという女性は皮膚の難病に悩…

マーシー・シャイモフさんの「『脳にいいこと』だけをやりなさい!」を読みました。

茂木健一郎訳 三笠書房え?『脳にいいこと』って何?この本って脳の鍛え方?・・・と思いました。(思うよねぇ)『脳にいいこと』それは、『幸せになること』です。といっても、他のハウツー本、ビジネス書のように、お金を貯め、稼ぎ、出世して、幸せになる…

映画「レッド・クリフ」を見て、三国志を思い出しました。

旧友に会うのは、楽しいものである。 例えそれが、実在の人物でなく、国やなんかが違っていたとしても旧友は旧友である。 ちょっとした仕草や、挿話に「そうそう、この人はそうだったなぁ。」と懐かしさで胸が一杯になる。 三国志で、数々の冒険を共にした登…

ボード・シェーファーの「そろそろ、本気でお金持ちになってみませんか」を改めて読みました。

ボード・シェーファー著 瀬野文教訳 草思社 この手のビジネス書は、アメリカ人が書くことが多い気がするが、ボード・シェーファーさんはドイツ人(若いときにアメリカに来たようだが)。それだけに、一部のビジネス書のように大風呂敷を広げたようなところが…

ウォルター・モズリィの「ブルードレスの女」、読みました!

坂本憲一訳 ハヤカワ・ミステリ イージー・ローリンズ・シリーズの記念すべき第1作目。 最初だからということもあり、最も好きな作品である。 ところで、このシリーズは、1948年が舞台である。あえて黒人を主人公にして、人種差別の激しかった(と思わ…

ウォルター・モズリィの「ブルー・ドレスの女」をもう一度読もうかな。

まだ、読んでないけど、次はこれをとりあげたい。 オバマ氏が次期大統領に決まったということもあり、黒人探偵イージー・ローリンズのシリーズ第1作である。 このシリーズは題名に色が入るのが特徴であり、今回はブルーである。 この本をもう一度読もうと物…

サイモン・ブレットの「連続殺人ドラマ」を読みました。

堀内静子訳 ハヤカワ・ミステリ それでは!ミセス・パージェターと並ぶ、サイモン・ブレットの別のシリーズのキャラクターをご紹介します!ミスター・チャールズ・パリス!チャールズ・パリスは、売れない俳優です。今回は幸運にもTVシリーズで、3ヶ月も…

マイケル・クライトンの「恐怖の存在」の付録「政治の道具とされた科学が危険なのはなぜか」を読みました。

本編は「環境問題」の問題についてだったことは、前回の日記に書いたとおりである。 これは、一世紀前よく似たことがおこったよね?というお話である。「科学的」にみえる学問(新しい科学理論)が世界中の科学者、政治家、著名人などの支持を集めた。そのな…

サイモン・ブレットの「奥様は失踪中」を再読しました。

堀内静子訳 ハヤカワ・ポケットミステリ ミセス・パージェターシリーズである。 ミセス・パージェターシリーズでは、だいたい、ミセス・パージェターが新しい所に移転する。海外旅行とか、老人ホームとか。 そこの、中産階級的な社会現象に思いっきり皮肉を…

マイクル・クライトンの「恐怖の存在」上・下を読みました。

酒井昭伸訳 ハヤカワ文庫 今回は、地球の温暖化問題である。 いや、もとい地球温暖化問題の問題である。 ここで質問。地球は温暖化している(温かくなってる)と思いますか? 虫は、正直、今や「はい」っていうのは常識だろう、と思っていた。だから、京都で…

内山哲夫の「転落弁護士  私はこうして塀の中に落ちた  」を読みました。

講談社 内山哲夫氏は、司法試験に合格し、新進気鋭の若手弁護士として活躍していたが、5000万円を横領、それが発覚して逮捕された。そのときは、仲間の弁護士の尽力で執行猶予つきですんだ。しかし、その後すぐに、事件屋とくんで、会社を恐喝したため、…

ヘンリエッタ・アン・クロウザーの「夢は紙に書くと現実になる!」をもう一度読みました。

野津智子訳 PHP研究所 例えば、混みあったパーティ会場で、どれだけたくさんの人がいろんな話をがやがやしゃべっていても、自分の名前を呼ぶ声だけは聞こえる。自分の名前を呼ばれて、無関心な人はいない。「なんですか?」と必ず反応するはずである。こ…

土屋賢二の「汝自らを笑え」を読みました。

文春文庫 これは、御茶ノ水女子大学で哲学を教えるツチヤ教授のユーモア・エッセイ集です。近頃ではユーモアと名のつくものでも、笑えるかどうかは確実ではありません・・・が、ツチヤせんせーのものは、信頼に足ります。 「汝(なんじ)自らを笑え」という…

マイケル・クライトン氏を悼みます。

2008年11月4日マイケル・クライトン死去の悲報が入りました。 未訳のものを除き、氏の最新作をこれ以上読めないのかと思うと非常に残念です。本当に悲しい。氏の作品で心に残るものをピックアップして、氏を称えたいと思います。 マイケル・クライト…

ジェイムズ・サリス「ドライヴ」を読みました。

鈴木恵訳 早川書房 おしゃれなクライム・ノヴェル。 映画「トランスポーター」を思い出す。主人公の職業・・・運転手(犯罪の逃走も)が共通していること。また、強盗などで運転手を勤めるときは、内容に興味なく、ただ運ぶだけと言い切るあたりが似ている。…

クリスチアナ・ブランドの「切られた首」を読みました。

水戸森 毅 訳 ハヤカワポケットミステリ コックリル警部物。 殺されるのが、なぜか、意地の悪いオールドミスとか、嫌味な女。 若くてかわいいフランセスカや、かっこいいジェイムズは、無事(?)生き残る。 このフランとジェイムズ、ペンドックの三角関係が…

イギリス人銀行員の父が息子に伝えたかったこと・・・「たのしい川辺」を読みました。

ケネス・グレーアム 作 石井桃子 訳 岩波少年文庫 子供向の本である。 小さいころから本の虫であったので、絵本を卒業してから、子供向けの本も読みまくった。この岩波少年文庫は、昔はハードカバーしかなかったのを、読みやすい新書版にしていただき、今で…