こういう依存症もある・・・ロン・ガレンの「マネー中毒」を読みました。

                 徳川家広・訳  光文社
【依存症について】
 あるモノ(とか)との適正なつき合い方ができないことを依存症と言っていい。

 それが、合法か非合法か、依存の度合いの強弱により、様々な依存症がある。

 非合法なものは、法律で規制しなければならないほど、依存の度合いが激しいのが通常である。コカイン、覚せい剤などである。例外的に大麻マリファナ)はそれほどでもないらしい。最近流行りのようである。

 合法的なものでも、タバコ、薬物(いわゆる合法ドラッグとか)、アルコールなどは有名であるから、依存症になる危険を考えてつき合うのが普通である。休肝日を設けたり、様々な禁煙グッズが売られているのはその証拠だろう。

 問題は、合法的であり、いままでは全く問題行動とされてこなかったモノとのつき合い方である。例えば、人間、食べ物、金銭などである。

 人間:これは対人依存症(共依存症)という。特定の人間関係にだけ情熱をそそぎ、それで自分の人生を決してしまうものである。例えば、アルコール依存症の夫や彼氏に口うるさく注意する奥さんや恋人は、実は共犯であり、一緒にいると、アルコール依存の悪循環から脱出できない。アルコール依存症の治療の過程で出てきた言葉である。

 食べ物:過食症とか拒食症とか。

 金銭:これがこの本の主題である。

 人間関係はともかく、食べ物も金銭も生きていくために必要不可欠である点は間違いない。しかし、いずれも、人生を豊かにするために利用するための道具である。いつも、食べ物やお金のことを考えていたり、逆に殊更に無視するのは、違うのではなかろうか。

 そうそう、虫も、そうであることは自覚している、活字中毒というのもある。
本という形では読まないにせよ、日本人で普通に生活していると活字は読む(よね?)。
 ただ、年がら年中読んでいると・・ま、目が悪くなるだけで、今のところ、さしたる害はない。いつも本を、2冊ぐらいは持っていたいのでカバンが重くなる程度かな。(軽く読めるのと、じっくり読むのと)
 親が、一度「読書禁止」を命じるという暴挙に出た時、取り扱い説明書とか読んでたので、これは中毒かも・・・と思った。
 害はそれほどないとはいえ、虫は非常に恥ずかしく思っている。「本を読みます」というと自慢のように聞こえるらしいのが不思議である。単に本を読まないでいると、(肉体的にはともかく)精神的に生きている感じがしないというだけなのだが。

 【マネー中毒とその類型】

マネー中毒はお金とのお付き合いが不健全になっているということ。4つの類型がある。

 *1つ目。消費過剰とショッピング中毒。

  病的に消費する人。買い物依存症。これはけっこう有名かも。ブランド物のバッグの山の横で、カップラーメンとか食べている若い女の子をテレビで見ると、なんともいえない精神的な貧しさを感じる・・・。
  お金を後先考えずにぱっと使うのも、自分の不安を抑えるためなんだね。可哀想に。
  バッグを買う瞬間だけ、(大丈夫)なんだ。
  その時だけ自己評価が高まるから、傲慢な態度をとる・・・痛々しい。
  自分は収入以上の存在だから、収入の範囲内で生きていかなければならないという事実に我慢がならないということらしい。
  大金を稼いでもそれ以上に使っていたら借金につぶされちゃう。この間、詐欺でつかまった小室哲哉の浪費の報道を見て、寒々しいものを感じた。この人もそうだね。

 *2つ目。仕事中毒。

 仕事のしすぎについては、社会的に「いいこと」とされています。しかし、週100時間は働きすぎ。身体がもちません。「生活」もしなくてはね。

 *3つ目。金銭執着。

 年がら年中お金のことばかり考えている人です。株式市場とか、証券会社のいいお得意さんです。ある程度お金がたまったら「成功!」のはずですが、さらに目標金額を上げてきてきりがありません。宝くじをあてて、大金が転がり込むと、逆にお金のことが気になってしかたなくなったりするらしい。(へー)

 *4つ目。過少所得者。

 アイヴィーリーグにいっていたり、博士号をもっているにもかかわらず、不当に少ない収入しか得られない人。食べ物関連の依存症でいうと、最初の類型を過食症に例えるとすれば、こちらは拒食症です。
 たしかに支出をしぼって必要最低限しか使わないようにすれば、目標を上回ることができます。
 基本的には、この人たちは「世界にはいかなる富も十分には存在していない」と考えています。いいかえれば、自分が愛されることなどありえないと感じているのです。
 自分を過小評価して、高い収入に値しないと誤って思っています。出費を異常にケチって社会に対して自分を護っているのです。 

  【治療法】

 まず、クレジットカードを捨てること。現金主義で。
 借金が自分の手に負えないと思ったら、弁護士さんとかに相談する。(この本では自分で・・・とありますが)基本的には、全ての債権者に連絡をとって、返せる範囲で返す計画を立てるのが賢明です。(たとえ、一部でもなにもないよりはましですから)
 それから、支出計画を立てる。いわば、家計簿の予算ですが、適正な額で。ここでケチると続きません!
 そのなかで、自分の心のケアする計画を立てる。例えばバレエを楽しみたいなら、観劇のほかにも、DVDとかいろいろあります。適正な金額で、楽しむこと。
 自分を大切にしないと、ツケは高いですね。