クリスチアナ・ブランドの「切られた首」を読みました。

        水戸森 毅 訳  ハヤカワポケットミステリ

 コックリル警部物。

 殺されるのが、なぜか、意地の悪いオールドミスとか、嫌味な女。

 若くてかわいいフランセスカや、かっこいいジェイムズは、無事(?)生き残る。

 このフランとジェイムズ、ペンドックの三角関係が、この話に深みを添えている。

 可愛いフランに焼きもち全開トークをした後に、オールドミス(38歳)、グレイス・モーランドは殺される。「画を描くために」ペンドック邸のバルコニーを借りたのだが、なんのことはない。ペンドックに近づく口実なのである。「インドへの道」も知らない狂言回しの役である(E・M・フォースターの小説、ま、小説の題名だってことは知っていた)。

 次に殺される、ミス・モーランドのいとこ、ピピ・ル・メイは、ペンドックの妻であったことが知れる。ペンドックは独身の、領主として知られていたのに!

 そうそう、重要なキャラクター、ダックスフントのアジズのことも忘れてはいけない。検視法廷とか教会で、了見のせまい人々に追い出されてしまうのである。

 もちろん、面白いけど、虫としては、恋愛の比重が高すぎるように思う。