ヘンリエッタ・アン・クロウザーの「夢は紙に書くと現実になる!」をもう一度読みました。

                     野津智子訳   PHP研究所

 

 例えば、混みあったパーティ会場で、どれだけたくさんの人がいろんな話をがやがやしゃべっていても、自分の名前を呼ぶ声だけは聞こえる。自分の名前を呼ばれて、無関心な人はいない。「なんですか?」と必ず反応するはずである。これは、脳幹の根幹部分に入ってくる情報を選別するRASシステムが活動しているからである。

 夢や実現したいことを紙に書くのは、いうなれば、この自分のRASシステムへの登録である。

 きわめて合理的である。自分自身に対する注意喚起といえる。

 古代エジプトの人々は夢をかなえるため、その夢を紙に書いていた。日本で願い事を絵馬などに書いたり、書初めで今年の目標を書くのもこの作用に注目したものといえる。

 もちろん、自己啓発関連の本を読むと、たいてい、この「目標を書きとめよう」というのは書いてあるもんである。ただ、この本が特徴的なのは、どういった形で、何を書くかといった規制が何もないことだ。ただ、書くもの(ペン・鉛筆など)と紙(ノートでもメモ用紙でも広告紙の裏でもなんでもいい)がありさえすればOKである。書くことによって、自分のRASシステムに登録するだけなのだから。

 また、書くことは、積極的・肯定的なことでなくともよい。消極的・否定的なことも書いて書いて書きまくり、気を落ち着かせるという方法もある。(ただ、否定的なものは捨てる)モノや人にあたるよりよっぽど合理的である。

 この本の中で、様々な「夢を紙に書く」方法が提案されており、どれも参考になる。

 【ほめ言葉を積み立てる】
 マークは、なんらかの形で応援してくれた人の名前を古い会計帳簿に書いて「積み立て」ている。例えば、「春よりも若くを歌ったときの反応」という項目がある。これは、初めてクラスの前で『春よりも若く』という曲を歌ったとき最前列の女性がほぉっと声を漏らしたのである。自分に関するほめ言葉をあつめ、読み返して自信につなげている。それに、誉め言葉に敏感になったのである。

 【小切手】
 俳優ジム・キャリーはハリウッド・スターになる夢を抱き自分自身にあてて小切手を書いた。金額は1000万ドル。但し書きには、努力に対してと記した。
 何年も何年も、彼はその小切手を持ち歩いた。映画一本に対して巨額の出演料が支払われるずっと前に。
 今では、ギャラは映画界でもトップクラス。一本で2000万ドルはかせぐ。
 その小切手は父親が埋葬される際に胸ポケットに入れたそうである。

 【金言】
 ロンは毎朝、どんなふうに人生に取り組みたいかをリストにして、書いている。こういった金言を書いて日々気持ちを新たにするのは、良い方法と思われる。参考までにロンの金言を書いておく。

 

  1. 僕は自分の考えに注目し、観察する。そしてできるときはいつでも、その考えに道筋を付ける。
  2. 僕は呼吸と知覚認識を通じて、現在にいることに集中する。
  3. 僕は今全世界の力が体内を流れているのを感じる。
  4. 僕は壮大な執念を育てる。ここで一滴、あちらで一滴やがて洪水になるのがわかる。

 【手紙】
 シルビアとテッドは結婚して16年になる仲の良い夫婦である。二人が出会う物語(テッドが「飲みませんか」と誘った話)は未だに新鮮である。
 しかし、二人の興味深い点はその「出会い」の前にある。シルビアは、実をいえば、出会う前に2年以上、テッド(まだ出会っていないので運命の人)あてに手紙を毎日書いていたのである。

 白状すると、この本を初めて読んだ1年ほど前から、虫はこの方法を採用し、この本の虫日記とは別にできるだけ毎日「手紙」を書いている。この日記をはじめてからちと休みがちである・・・。シルビアと違うのは、もう出会っているので、名前が分かる点である。ただ、種々の事情で、話すことが困難であり、そういう意味では「出会っている」とはいえないかもしれない。また、初期に、本人に手紙を渡してしまったのは失敗だった。相手に渡す必要は全くない(頼まれても見せないかもしれない)のだから。

 今回読み直してみて、最近の「手紙」は、「日記」しかもあまりよくない日記になっているな〜と反省しきりである。実際に会えるせいか、なんかグチっぽいのだ。まぁ会うっていっても、見るだけだけど。
 もっと書き方を変えたほうが効果的かもしれない。もっとも、この「手紙」のおかげで、ほんの1時間ぐらいでも、書くのは大変なことに気づいた。あらゆる瞬間をとどめておきたいのに、感じたことや見たもの全部を書ききれるものではない。(1日の出来事を書くのに、1週間ぐらいかかってしまう。かかりっきりで)

 シルビアにもう一度、学びなおしたほうがいいかもしれない。

  • シルビアは必ず出会えることに確信を持っていた。

 →虫も出会いがあったことには確信を持っている。あらゆる兆候がそれを示している。

  • 外見や性格の理想を何度も書いた。

 →こういっては難だが、本当に理想通りのヒトである。でもあらためて書こうと思う。

  • 結婚生活についても書いた。

 →ここですね。これも書かなくては。

  • 目的達成の期日を書いた。(その期日どおりにはいかなかったけど、もしかしたらそれで促進されたのかもしれない)

 →書いてない。書こ。

  • より充実した人生を送った。陶器を集めたりとか。水彩画を始めた。

 →これも学ぶところ。

  • 出会いを具体的にイメージした。

 →これですね。

 【水のそばで書く】
 水のそば、噴水や、湖や海のそばで書くことは創造性を高めるそうである。シアトル在住の筆者は、フェリーに乗って行ったりきたりしながら、ものを書いたりしている。

 【同じ夢をもつ人とグループをつくる】
 同じというのは、夢の内容ではなくて、夢を持っているという点で共通するということである。その夢のためになにをするか、具体的に話をして、実行した暁には、メールや電話で、報告をする。
 これなら、挫折しなさそう・・・。でもなかなかこういうことって話をするの難しい気がする。

 【夢の実現を躊躇するとき】
 その躊躇する理由がなにかあるはずである。そんなときひたすら書き続けることによって、本当の原因を発見することができる。


  まずは、そう、書くことから全てはじまる!!