2009-01-01から1ヶ月間の記事一覧

9・11事件についてのニューヨーカーの見解〜「グラウンド・ゼロ/グラシーノワール  神の託宣者に訊く」を読みました。

マーク・ジェイコブスン ところで、9・11事件についてどう思われるであろうか。 いろいろな見解はあるだろうが、あの事件で、歴史が大きく変わったという点だけは、認められるのではないだろうか。すくなくともイラク戦争はなかったであろうし・・・。 だ…

みんな大好き、死体袋のフランク〜「アメリカンギャングスター」を読みました

マーク・ジェイコブスン 田口俊樹 他 訳 早川書房 ヴェトナム戦争下のアメリカ・・・ 戦場で散っていったアメリカ兵の死骸がたくさんヴェトナムからアメリカに送られてきていた・・ その死体袋に麻薬をつめて密輸したヤツがいたという。 ヤツの名はフランク…

消えてしまった日本人の親戚〜「イシ  北米最後の野生インディアン 」を読みました。

シオドーラ・クローバー 行方昭夫 訳 岩波書店 同時代ライブラリー この本を読んでみようと思ったのは、ギデオン・オリヴァー博士(スケルトン探偵)シリーズの中で言及されていたからである。この日記でも触れた「暗い森」である。 本を開けて最初の方を読…

本当は過激な民主主義〜「民主主義 古代と現代」を読みました。

M・I・フィンリー 柴田平三郎 訳 講談社学術文庫 訳者の方の前書きで9・11以来の締め付けに民主主義の原理的理解によって対抗できるとあった。 対抗できるかどうかはともかく、「アメリカにファシズムが上陸するのは、反ファシズムの名においてであろう」…

HIPHOPに介護を語る〜「介護入門」を読みました。

モブ・ノリオ 文春文庫 はじめはなんか抵抗があった。 朋輩って書いてニガーと読む。 えー、ニガーじゃねぇよ。わざとらしいなぁ。 Yoとか。 あ、マリファナをやってること自体は別にいいけどね。どうでも。 しかも、句読点が少なくて独り言みたいで読みに…

会社人間のつくり方〜「死体つき会社案内」を読みました。

サイモン・ブレット 近藤麻里子・訳 ハヤカワ ポケミス チャールズ・パリスシリーズ。 売れない役者チャールズは、会社案内ヴィデオの仕事を友人ウィルからもらう。この会社はデルモリーンという(まるでデルモ○○)食品製造会社。大企業で、「神経を休める」…

知的向上心を強化する〜「最短で結果が出る超勉強法」を読みました。

荘司雅彦 講談社 この間本屋さんで、この本のワイド版がでていたのにびっくりした。この本は売れているらしい。 しかし、売れてくると、ワイド版を出すというのはなんなんだろう。皆が読んでいるから、本を普段は読まない人も読みやすいようにという配慮だろ…

心を開くことが幸福の鍵〜「幸福のリアリズム」を読みました。

犬養道子 中公文庫 リアリスティックな幸福論。 球根で考えてみる。 チューリップの球根にとってどちらが幸福だろうか。 形を保ったままミイラ化した球根と球根の形はもはやなくなっている(根になっている)が美しいチューリップが咲いたのと。 もちろん、…

アマゾン川の楽しいクルーズ、殺人事件つき〜「密林の骨」を読みました。

アーロン・エルキンズ 青木久恵・訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 ジュリーとマーティの奥さん連中が、懸賞かなんかで当たった旅行に出かけたので、残されたギデオン・オリヴァー博士とFBIのジョン・ロウは、格安でアマゾン川クルーズに出かけることにした。同…

ちょっとした安楽椅子探偵物、その始まり〜「黒後家蜘蛛の会 1」を読みました。

アイザック・アシモフ 池央耿 訳 創元推理文庫 SFは敬遠していたので、SF作家のアシモフが、「推理小説の好みは安楽椅子物」と前書きに書いてあったのが意外であった。虫と同じく、クリスティが好きなようで、「もう意外な結末なんて出されつくした」と…

食事のバランスをとる〜「食養生読本 中国三千年奶奶の知恵」を読みました。

パン・ウェイ(中国食養生研究家) 講談社プラスアルファ文庫 肉ばかりだと・・野菜もとらないと。 風邪予防にはビタミンCだよね。 こういったいわゆる栄養のバランスというのは気を使っている人も多いと思う。 今回紹介するのは、それとは異なるバランス・…

インディアンと開拓者のはざまで〜「バックスキンの少女」を読みました。

ドロシー・ギルマン 柳沢由実子/訳 集英社文庫 ベッキーは、レゲット家の召使として、つらい日々を送っていた。レゲット家のお嬢さん達が編み物かなんかしてるあいだ、お使いや台所仕事をしなくてはいけない。 そこに結婚話が・・・、しかし相手は年上の、奥…

日本人と二人の女性〜「大はずれ殺人事件」をより面白く読むために。

もう一回、大はずれ殺人事件で。 この作品には、日本人が出てくる。ライスの作品には珍しい。といってもパートリッジ(ヘレンのお父さん、ジョージ・ブランドの保護者兼執事)の話に出てくるだけだが。 「パートリッジ」ジェークが呼びかけた。「人間の口を…

素敵な新婚生活〜「大はずれ殺人事件」を読みました。

クレイグ・ライス 小泉喜美子 訳 早川書房 これも、何回目か・・?心おきなく笑えて、気の利いた会話を楽しみたいなら、クレイグ・ライスに限る! 彼女(男名前だが女性である)の本って、サイコー! この本の冒頭で、ジェイクはヘレンとめでたく結婚する・…

ビジネス書の古典(日本でも入手不可!)から〜「この世で一番のメッセージ」を読みました。

オグ・マンディーノ 住友進 訳 竹書房文庫 この本いいねぇ。でも高いから今度買おう と思って、しばらくしてからお金を握り締めて本屋に走ると・・・ない! 特に日本では、再販制度というのがあって、売れない本はどんなにいい本でも、しばらくすると本屋か…

本当の自分になり、自分自身を表現するために〜「リーダーになる」を読みました。

ウォーレン・ベニス 芝山幹郎 訳 新潮文庫 《存在しているだけでは半分しか生きていない。残りの半分も生きたければ、みずからを表現することだ》 ラルフ・ウォルド・エマーソン リーダーとは、自分自身を表現している人という定義だから、いいかえれば、よ…

MWA最優秀長編賞受賞作〜「冬そして夜」を読みました。

S・J・ローザン 直良和美 訳 創元推理文庫 リディア・チンとビル・スミス物。 交互に一人称の主人公になっているこのシリーズだが、今回は、ビル・スミス。 このシリーズは、粒がそろっているので、受賞作のこれだけが特にすごいという印象はない。本当にど…

ルーツ探し〜「沈黙の叫び」を読みました。

マーシャ・マラー 古賀弥生 訳 講談社文庫 シャロン・マコーンシリーズ。女性の探偵物は増えているが、このシリーズは未訳が多い。けっこう好きなのに残念。 本の表紙によると、原題は“LISTEN TO THE SILENCE”沈黙を聞けということか。登…

サービス業の転換期〜「いかに『サービス』を収益化するか」を読みました。

DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部・編・訳 ダイヤモンド社 農業や、製造業以外のほとんどの仕事が、サービス業(第二次産業)である。虫の経験した仕事のほとんどはサービス業であるし、おそらく、大都市圏に住んでいるほとんどの人が、何らかの…

良書を敬遠しないで〜「ラッセル幸福論」を読みました。

安藤貞夫訳 岩波文庫 ビジネス書のなかでも、自己啓発といった分野は、幸福になるためのハウツーでもある。 でも、バートランド・ラッセルが書いたこれは、わかりやすいし、面白い。時代や、国は違うけど、未だにその通りと言えることがほとんどだ。 そうそ…

刑事法廷弁護士(バリスター)の事件簿〜「ランポール弁護に立つ」を読みました。

ジョン・モティーマー 千葉康樹訳 河出書房新社 バリスター、つまり法廷弁護士というのは、イギリスの弁護士のうち、法廷に立つ弁護士を言うらしい。 イギリスでは、法廷弁護士(バリスター)と事務弁護士(ソリシター)に分かれていて、万引きが見つかるな…

頭を良くするために気をつけたいこと〜「東大医学部生が書いた頭がよくなる勉強法」を読みました。

石井大地 こう書房 サスガに東大医学部生だけあって、構成がしっかりしている。「頭がよい」ことの定義を「はじめに」で書いているのは類書に例を見ないといってよい。言葉の意味を定義づけ、そこから自分なりの結論を導き出すのは、学術論文のような構成と…

止められないスリルとサスペンス!〜「弱虫チャーリー逃亡中」を読みました。

D・E・ウェストレイク 志摩隆訳 ハヤカワ・ミステリ チャーリー・プールは、アル伯父の口ききでロックアウェイ・グリルというしけたバーのバーテンダーになった。 アル伯父は「組織」にいて、このバーはそのかくれみのらしい。ちょっと「お使い」をして組…

大蔵大臣の勉強法〜「竹中式マトリクス勉強法」を読みました。

竹中平蔵 幻冬舎元大蔵大臣にして現慶応大学教授の竹中さんの本である。ネームバリューが高い分期待も大きい・・・が、ちょっと薄いわりには、英語や経済など、色々な方面に手を広げすぎていて、すこし内容が薄い印象を受けた。 普通とちょっと違うなあと感…