2009-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「聴く」という才能〜「モモ」を読みました。(2)

ミヒャエル・エンデ 作 大島かおり 訳 岩波書店 大きな男物のブカブカの上着を着て、(袖は折って)つぎはぎのスカートをはき、はだしで歩く女の子、モモ。 年は10〜12歳ぐらい。本人に年を聞くと、生まれた後のことしか覚えていないので、わからないと…

気がつくと、周りに誰もいなかった。〜「モモ」を読みました。(1)

ミヒャエル・エンデ 作 大島かおり 訳 岩波書店 気がつくと、周りに誰もいなかった。 小学校4年か5年の時である。田舎の小学校に通っていた虫は、大人しい、目立たない子だった。 担任の先生は体育の若い男の先生で、その先生の授業だったと思う。あ、小学…

書く時間の長さと作品の完成度〜「フランチェスコの暗号」(上・下)を読みました。

イアン・コールドウェル&ダスティン・トマソン 薄くても何回もエントリを書きたくなる本もある。内容がそれだけ深いのだ。 しかし、これは、上下巻分かれていて、けっこう厚いのだが、今日一日で十分。短めでいいぐらいだ。 それに、解説の最初で簡潔な、言…

悪(ワル)になりきれない悪人〜「マクベス」を読みました。

シェイクスピア 作 木下順二 訳 岩波文庫「なんだあの血まみれの男は?」 シェイクスピアの劇作は皆そうだが、有名なので、知らず知らずあらすじを覚えてしまう。この冒頭の方に出てくる有名なセリフなんて、あまりにいろいろなところで引用を耳にした。 さ…

あなたの人生と命くれますか?〜「テイキング ライブス」を読みました。

マイケル・パイ 広津倫子〔訳〕 徳間文庫 「今の自分としての人生を捨て、全く新しい人生を送りたい」 そう思ったことはないだろうか。 誰でもちょっとは、あるのではないか。 引越し(転校)や旅行や進学がわくわくするのは、そのためではないだろうか。 夜…

SF抒情詩〜「太陽の黄金(きん)の林檎」を読みました。

レイ・ブラッドベリ 小笠原豊樹 訳 ハヤカワ文庫 昨日も書いたと思うが、どうも、SFは苦手である。時々、読んでみようかな・・・と手を出すものの、やっぱり「ミステリの方が面白いや」と思ってしまう。そのためか、天秤の片方に読んだことあるミステリを…

パラレルワールド〜「夢の10セント銀貨」を読みました。

ジャック・フィニィ 山田順子 訳 早川書房 いや〜SFってなんか苦手である。なぜだろう。小説は架空の話を書くものだが、SFは、設定自体が架空である。 その設定になんか、著者の思い込みが反映されているような気がするのだ。 本を読むのは大好きだが、…

あるユダヤ人の逃避行〜「ナチスになったユダヤ人」を読みました。

マイケル・スケイキン◎著 小澤静枝◎訳 DHC よく知られているように、1941年12月8日の日曜日に、日本軍は真珠湾攻撃を行った。 しかしその日は、ポーランド領白ロシアのノヴォグルデクに住むユダヤ人にとっては忘れられないものとなった。 (現在、こ…

日本再発見〜「武士の娘」を読みました。

杉本鉞子 大岩美代 訳 筑摩叢書 あれ?と思うのではなかろうか。 日本人の名前が著者なのに、訳者がいる。 そう、実はこの本は英語で書かれたものであり、それを和訳したものである。 杉本鉞子(エツコ)さんは、長岡藩(現在の新潟県)の家老の家に生まれ育…

怪しい沈没船〜「ジャマイカの墓場」を読みました

ジョン・ラング 浅倉久志 訳 ハヤカワ・ポケミス 前回の本とまとめて借りなかったら、「ジョン・ラング」がマイケル・クライトンとは気がつかなかっただろう。 それにしても、この日本語版の題名は、ナイと思う。これで、小説の内容や面白さを知ることはでき…

墓ドロボウ〜「ファラオ発掘」を読みました。

ジョン・ラング(マイクル・クライトン) 沢川進 訳 ハヤカワポケミス 考古学は魅力的な学問ではあるが、学問がたいていそうであるように、報われることが少ない。発掘品は博物館にいってしまう。考古学者に残されるのは、発掘者という名誉と、論文だけであ…

まっすぐ立つ〜「自省録」を読みました。(3)

マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子 訳 岩波文庫 何かするときいやいやながらするな。利己的な気持ちからするな。無思慮にするな。心にさからってするな。君の考えを美辞麗句で飾り立てるな。余計な言葉や行いをつつしめ。なお君のうちなる神をして 男らし…

踊らされない〜「自省録」を読みました。(2)

マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子 訳 岩波文庫 テレビや様々なマスメディアで、食欲や性欲の刺激をもくろんでると思われる映像やら話やらを聞かない日はないだろう。 「ほら、おいしそうな焼き肉ですね〜」(+焼き肉の焼ける時のおいしそうな音) →おい…

まずはご紹介〜「自省録」について (1)

マルクス・アウレーリウス 神谷美恵子 訳 岩波文庫 著者の名前を見て、共産主義となんか関係ある? と思ったアナタ向けのご紹介である。 答えは、全く関係なし! これを中学生のとき読んでいたら、「(虫)が読んでる本マルクスってかいてあった〜赤〜?」と…