内山哲夫の「転落弁護士  私はこうして塀の中に落ちた  」を読みました。

                              講談社

 内山哲夫氏は、司法試験に合格し、新進気鋭の若手弁護士として活躍していたが、5000万円を横領、それが発覚して逮捕された。そのときは、仲間の弁護士の尽力で執行猶予つきですんだ。しかし、その後すぐに、事件屋とくんで、会社を恐喝したため、今度は実刑をくらってしまった・・・。

 そんな内山氏の犯罪に走ったきっかけ、刑務所体験記などである。

 犯罪に手をだしてはいるものの、内山氏自体、そんな立派な悪徳弁護士には見えない。ヤクザの顧問弁護士とかして、倫理もへったくれもないような方々である。中途半端に犯罪に手を出したため、「バッジを飛ばす」(弁護士は弁護士会に入っていないと営業できないため、その弁護士会を退会して、弁護士バッジをつけられなくなることである)はめになってしまったのである。

 犯罪に走ったキッカケとしてウチヤマ氏が挙げるのは、銀座の高級クラブに出入するようになったことである。これも、弁護したヤクザさんに連れてってもらったのがきっかけであった。
 職業柄、弁護士さんは、「悪い」人たちと接することが多い。そういう人達には、なるたけ染まらない、遠ざけるのが、ベストであろう。ま、どんな職業であれ、それは言えるけど。

 それにしても、資格をもたないで、弁護士っぽい仕事をする人がいて、事件屋というらしい。何をしているかといえば、ゆすりとかタカリとか、会社を脅したりとか、破産する人につけこんで、特定の債権者(ヤクザ)にだけ財産がいくような芝居をうったり(私的整理とかいうらしい)するんですな。

 知らなかった。

 この事件屋にならずに、更生しようとしている、ウチヤマ氏はえらい!法律ってのは悪用すると恐ろしいことになるようである。

 山梨の刑務所に送られたが、慣れてしまうとけっこう楽しんでいるようである。

 でも、外(シャバ)の方が空気がおいしい!そうで。

 元弁護士だから、更生もラクではないようである。うーん、もともと優秀な人なんだから、ちゃんと使えば、社会のためだと、虫は思うけどね。