2009-02-01から1ヶ月間の記事一覧

子供はとっても忙しい〜「ホーム・スィート・ホーム殺人事件」を読みました。

クレイグ・ライス 長谷川修二 訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 今日読んだわけではないが、最近は1日1冊に地ならしして紹介しているので、最近もう一度読んだこちらの一冊にする。クレイグ・ライスには、以前も紹介した「大はずれ殺人事件」や「大当たり殺人事…

トチ狂ってる男爵家に子沢山の建設業者(実は建築士)いじめられるの図〜「決着」を読みました。

ディック・フランシス 菊池光 訳 ハヤカワ文庫 ★主人公★ ディック・フランシスの作品は以前も紹介した。今回の主人公は珍しい職業である。建築士・・・というと、大手の建設会社に勤めて、マンションとかビルの設計をしているというイメージである。姉歯さん…

企画力と行動力、そして高い志に感服〜「お嬢さん放浪記」のなかの「お城をもらった話」を読みました。

犬養道子 中公文庫 アメリカでは「事業」に成功して札ビラをきる身分であったが、今はパリにいて、全くお金がない。 ハトにやるパンくずさえ拾おうとする始末である・・・。 空腹のせいか、病気で寝込み、心配した友人の援助でなんとかしのぐ。 それから数週…

行動力と企画力に感服〜「お嬢さん放浪記」の中の「アルバイトの記」を読みました。

犬養道子 中公文庫 犬養道子さんは犬養毅氏の孫にあたる。二・二六事件で暗殺された首相である。 つまりそれなりにいい家の出身だから、表題の「お嬢さん」があるのだろう。どうも、本人はいやがっているようである。これを言うときの恩着せがましい感じ(日…

女性探偵をめぐる短編集〜「ヴィク・ストーリーズ」を読みました

サラ・パレツキー 山本やよい 訳 ハヤカワ・ミステリ文庫 V・I・ウォーショースキーシリーズ。 このシカゴに住む女性探偵、V・I・ウォーショースキーをあつかった小説はほとんどが長編である。だから、短編集というのは珍しい。毎回殺人もからむが、横領…

亡き夫へのレクイエム〜「永遠に別れを」を読みました。

マクシン・オキャラハン 成川裕子 訳 創元推理文庫 ディライラ・ウェストシリーズの一作目。 目が覚めると、自分のベッドではないところ。すぐ横にベッドをともにしたらしい人がいる。それは男の死体だった。昨日のことを思い出そうにも、頭が痛くて思い出せ…

ナルニア国シリーズ第1話〜「ライオンと魔女」を読みました。

C・S・ルイス作 瀬田貞二訳 岩波少年文庫 もちろん、以前も読んだが、映画を見てから読むのは初めてである。あの映画は、映画としてはよくできていると思う。主人公となる四人の兄弟、ピーター、スーザン、エドモンド、ルーシーが出てくると思い浮かぶのは…

家出をするなら・・・〜「クローディアの秘密」を読みました。

E・L・カニグズバーグ 松永ふみ子訳 岩波少年文庫 子どものころ、いや今でも家出をしたいと思ったことはないだろうか。 虫も家出をしようと考えたことはあるが、未だ実行には至っていない。もっとも、本屋や図書館に行くと帰る時間を忘れてしまうので、あ…

女の子のもつ力〜「丘の家のジェーン」を読みました。

モンゴメリ 村岡花子 訳 新潮社文庫 赤毛のアンのモンゴメリの小説である。これも何回目か・・・? これは、1人の女の子が、親の結婚の破綻を救う話である。もちろん、めったにあることではない。普通の場合、子供は親の結婚の破綻の前には無力である。 で…

三浦雄一郎先生について〜「百歳、山スキーと山岳写真に生きる。」を読みました。

三浦敬三 草思社 これは先生のお父様のご著書であるので、直接関係ないが、三浦雄一郎先生について個人的に書かせていただきたい。 小学生を対象としたサンバードスポーツクラブ(SBスポーツクラブと改名した)の合宿には何度も参加したが、三浦先生がいら…

100年前から変わらない女性の生活〜「続若草物語」を読みました。

オルコット 吉田勝江 訳 角川文庫 若草物語は読んだ(か、映画で見たかアニメでみた)ので知っているけど、「続」の方は知らないという方も多いと思う。 若草物語について、一応確認すると、メグ、ジョー、ベス、エイミーの四人姉妹が、優しいお母様と、お父…

増殖する妄想と虚言の世界〜「鼻・外套・査察官」を読みました。

ゴーゴリ 浦雅春 訳 光文社古典新訳文庫 本の虫ではあるが、ど〜も、海外ミステリ(英・米)、ハウツー物にかたよりがちである。 その点反省して、ロシア文学に挑戦してみた。 とはいえ、トルストイとか、ドストエフスキーとか、ちょー長いのはちょっと覚悟…

住むということを学ぶ〜「ラインの河辺」を読みました。

犬養道子 中公文庫 ドイツに住んだ3年間を通して、住まいや社会生活に関する知恵を紹介している。といっても、すぐに真似できるたぐいのものではない。いわば、ヨーロッパ、ドイツの哲学を読み取っているのである。 考えてみると、日本の住宅は、現在では、…

勘当した息子捜しが殺人事件へ〜「殺人犯はわが子なり」を読みました。

レックス・スタウト 大沢みなみ 訳 ハヤカワポケットミステリ ネロ・ウルフシリーズ。 このシリーズをご存知ない方のために一応解説しよう。海外ミステリがお好きな方はとっくにご存知とは思うが。 ネロ・ウルフはニューヨークに住む私立探偵。身長180c…

大人用「宝島」〜「難破船」を読みました。

R・L・スティーヴンスン&L・オズボーン 駒月雅子訳 ハヤカワ・ミステリ この間、TVで「カリブの海賊」(ってなんでパイレーツオブカリビアンていうんだろう?)の映画版その2(デッドマンズチェスト)を見てしまった・・・。ジャック・スパロウの人食…

少年時代のある日の出来事〜「運命の日」を読みました。

〜「九時から五時までの男」より スタンリイ・エリン ある若かった一日。過ごした当日は、なんでもない、ごくごくありふれた一日が、思い返してみると、後の運命(人生)を示すものがあったなぁと思う。 最初の方で「私」は、運命主義者と呼ばれるかもしれな…

日本でいうサラリーマン?ただし、仕事の内容は除く〜「九時から五時までの男」を読みました。

短編集「九時から五時までの男」より スタンリイ・エリン 小笠原豊樹・他訳 ハヤカワ・ポケットミステリ キースラー氏のある一日を描く。 キースラー商会(ただし、キースラー氏1人だけ)に勤務するキースラー氏。 目覚めると奥さんが朝ごはんを作っていて、…

謎のお客様の死〜「愛は売るもの」を読みました。

ジル・チャーチル 戸田早紀 訳 創元推理文庫 グレイス&フェイヴァーシリーズ。 コージーミステリと歴史物という異色の組み合わせのこのシリーズの4作目にあたる。 リリーとロバート・ブルースター兄妹は、親の破産以来苦しい生活を強いられてきた。金持ち…

リハビリからスポーツへ〜「脳を鍛える筋トレ  PNFとはなにか」を読みました。

市川繁之 鈴木克憲 織田淳太郎 光文社新書 ちょっと前のことだが、甲子園の駒大苫小牧の快進撃をご記憶であろう。 北海道の冬は寒い。しかも雪が積もっている。だから、野球が弱いのは仕方ないよな・・・と沖縄やら鹿児島やらの高校は優勝争いをしているのを…

モテモテ・ラム君爽快推理〜「スリップに気をつけて」を読みました。

A・A・フェア 宇野利泰 訳 早川書房 ポケミス クール&ラムシリーズ。 クール&ラムシリーズは、私立探偵のバーサ・クール(重量級・お金が大好き)とドナルド・ラム(小柄・頭の回転が早い)が活躍する。 著者は、ペリー・メイスン弁護士シリーズで有名な…

新しい分野の種をまく〜「底のほうにはまだ十二分の余地がある」を読みました。

「ファインマンさんベストエッセイ」より 中世キリスト教神学が、いかに馬鹿馬鹿しいものであったかということを示す議論として有名なものにこんなのがある。もちろんご存知かと思うが(別にしらなくても何てことはない)・・・。釘の頭の上で、何人天使が立…

どういうことかわかるということ。〜「ものごとをつきとめる喜び」を読みました。

「ファインマンさんベストエッセイ」より リチャード・P・ファインマン 大貫昌子・江沢洋(訳) 岩波書店 「私は誰よりもあの男を愛し、偶像視せんばかりに崇拝していた」とはベン・ジョンソンが、シェイクスピアに関して言った言葉である。 この本を編集し…

スイス・アルプス山中の悲劇〜「雪と罪の季節」を読みました。

パトリシア・モイーズ 谷亀利一 訳 ハヤカワ ポケミス ティベット主任警部シリーズ。 このシリーズ、本当に休暇中の事件が多い・・・っていうか、、休暇中の事件以外あっただろうか? スイス山中では確か別に一つあった。そして、友人のヨットに乗った(そし…