空飛ぶペパミントキャンディ・ステッキ〜「とびらをあけるメアリー・ポピンズ」を読みました。(2)
P・L・トラヴァース 林容吉 訳 岩波少年文庫
「大理石の少年」
公園にある大理石の彫刻の少年が降りてきて、ある日の午後だけ、マイケルとジェーンと遊ぶというもの。
彫刻だとすっぱだかでも誰も何も言わないのに、生きている少年となると、「風邪ひかないか」などとうるさい。
たまりかねて、メアリー・ポピンズが自分の上着を上げる。
これは公園での話なので、ちょっと言うと、メアリー・ポピンズのシリーズで公園にいくとなると必ず出てくるのが、公園番である。公園の番人か?
日本では、有料の大きい公園以外では見た事ないし、そういうところでも、切符をもぎってるか大人しく掃除をしている。
イギリスでは、昔は置いていたのかな?わからない。
しかし、この公園番、威張っている。
「公園に紙くずはおことわり!」なんて年がら年中、大きな声を出されたら、相当、ウザい。リラックスしにいくとこなのに。
メアリー・ポピンズがやりかえす気持ちがわかる。
「あんたこそ、紙くず!」
大理石の男の子、ネリウスは、アイスクリームを食べたり、いつも肩越しに読んでいる<おもしろ絵本>を読んだり、充実した一日を過ごしたようだ。
最後に、像がないことに気付いたお偉いさんがさわいでいるため、台の上に復帰。
像が着ているのが、メアリー・ポピンズの上着であることに気付いた公園番はメアリー・ポピンズに、自分のピカピカの勲章がついた上着をあげる・・・いいとこあるじゃん。
◇ ◇ ◇
「ペパミントの馬」
今日は、バンクス家の子供達を連れて、お買い物。
子どもは大人の2倍歩かなくてはいけないから、買い物が終わる頃には子供達はクタクタ。それで怒りっぽい。
バンクスさんの奥さんに頼まれた買い物が終了したころ、こんなことが書いてあった。
ミス・キャリコ
さとう菓子製造販売
貸し馬あり
ペパミントの匂いに誘われていくと、キャンディ売りのおばあさんを発見。
しかも、安い。めちゃくちゃ安い。なんと一本、ピン一本である。
ピン?
そう、誰だってピンの一本ぐらい洋服のどこかにさしていた時代である。ただし、バンクス家の子供達は、メアリーポピンズがつくろいものをすませているのでなし。しかたなくメアリー・ポピンズにもらう。
現代日本では安全ピンのほうがポピュラーだが、この時代はピンであろう。
しかもこのキャンディ売りのおばあさん、洋服全体がピンで覆われている。そこに刺すのだ。
こんな安値とあって、ペパミントキャンディ・ステッキ大人気。知り合いのあらゆる人が買っている。
それをなめていたマイケル。ステッキがはねまわっているのに気付いた。
まさか
そう、空をとぶ。
マイケルのばかりでない。他の子供たちのステッキも。
メアリー・ポピンズはステッキを買わなかったが、自分のこうもりがさにのって優雅に飛んでいる。
ジェーンも、他の子どももとんでいる。
そして他のひとのペパミントキャンディステッキも。
空はおおにぎわいである。空はキャンディの乗り手でいっぱいだった。
空の散歩を楽しんできたマイケル。
ジェーンは、大切にしまっておいたステッキが、ミス・キャリコに呼ばれ、空に帰っていくのをいつまでも見ていた。