枠にとらわれない重要性〜「スウェーデン式 アイディア・ブック」を読みました。

        フレドリク・ヘレーン 著  中妻美奈子 監訳   鍋野和美 訳    ダイヤモンド社


 すごく印象に残ったのがこの話。

 心理学者のJ・P・ギルフォードは第二次大戦中、アメリカ空軍から依頼を受けて、爆撃機パイロットを選ぶことになった。知能検査や、学業成績、個人面接の結果をもとに、適任者を選抜した。
 アメリカ空軍はまた、退役した元空軍司令官にもこの任務を与えた。
 ギルフォードは、心理学の素人がそういった任務を行うことを苦々しく思い、ベテラン・パイロットとしての経験をそれほど重視しなかった。
 案の定、二人は、全く傾向の異なるタイプの人間を選んだ。

 後に、二人の任務が査定された。ギルフォードの選んだパイロットはことごとく、撃墜されていたことがわかった。
 ギルフォードは多くの若者を死においやったことに悲嘆の念を感じた。
 そこで、どうして、司令官の選抜したパイロットが優れていたかを徹底的に調べることにした。

 元司令官は、全員に、「ドイツ領空で敵機の対空射撃にあったらどう対処するか。」という質問をしていた。

 それに対し、軍のマニュアル通り「上昇します。」と答えたものは、全員落としていた。
 
 合格したものは「その場になってみないとわかりませんが、おそらく下降します。」「ジグザグ飛行をはじめます」「左右に機体を揺らして、砲火を避けてみます。」など、マニュアルにない、「間違った」答えを書いたものだけだった。
 マニュアル通りに行動する兵士は意外性に欠けており、予測されやすいからという理由だった。

 これに対し、ギルフォードは、マニュアル通り「上昇します」と答えたパイロットのみを採用した。ドイツ空軍は、このお決まりのパターンを察知しており、雲の上で待ち伏せていた。これがギルフォードが失敗した理由である。

 知性が高くても、規則通り行動するパイロットより、機知に富んだパイロットの方が危険をうまく切り抜けられる。

 パイロットに限らず、誰でもそうだと思う。いつの時代でも。

 よっしゃー。予測されない人生を送ろう!