子供達の大航海〜「朝びらき丸東の海へ」を読みました。

            C・S・ルイス 作    瀬田 貞二 訳  岩波少年文庫


 《ナルニア国物語 3 》

 前回、「カスピアン王子のつのぶえ」で、ナルニアの危機を救った、4人兄妹、ピーター、スーザン、エドマンド、ルーシーだが、今回は下の二人だけが出てくる。

 夏休みにいとこのユースタスの家にお世話になることが決まったエドマンドとルーシー。このユースタスっていうのが、いやないじめっ子である。「進歩的な」両親の家で育ったというところが、ルイスの保守的なところを表しているかもしれない。

 壁にかけられた、船の絵を見ていると・・・その絵がみるみるうちに本当の船になり、エドマンド、ルーシー、そしてユースタスは、その朝びらき丸で、前回王位についたカスピアンと行方不明になった、父王の友人である7人の貴族を探す旅にでることになる。

 旅に出ても、グチばかりこぼすイヤなユースタスだが、竜に変身するはめになり、心をいれかえて、見違えるようないい子になる。まるで、最初に裏切って白い魔女についたエドマンドである。(本人もそういっている)

 こういう、教訓話っぽいところもあるけど、訪れた島々でするとんでもない冒険が面白くて、あまり気にならない。

 この話はあまり聖書っぽくも、シェイクスピアっぽくもない。

 でも、ガリヴァー旅行記に似てるな。あの話に満ちているイギリス社会批判の精神は感じられないけど。