ナルニアの危機を救え!〜「カスピアン王子のつのぶえ」を読みました。

          C・S・ルイス   瀬田貞二 訳  岩波書店


ナルニア国物語 2》

 前後したが、こちらが第二話。さきごろ映画化されたものである。

 「ライオンと魔女」でナルニアに入り、長い間、王と女王として、ナルニア国を平和に治めたピーター、スーザン、エドマンドとルーシーの4人兄妹。ナルニアとこちらの世界では時間の流れが異なるので、一旦大人に成長したはずなのに、この世界に戻ったときはちょうどナルニアに入った時の子どもにもどった。

 何か人生トクしてるなぁ、この子たち。いいな〜。

 本読んでいる間は、その本の中の「人生」をあゆんでるから、そういう意味ではこの子たちと同じかもしれない。しかも楽しいしね。
 
 この4人、普通に子どもとして生活を送ってきたが、夏休みが終わって学校に戻るというときに何か不思議な力によってひっぱられて、もう一度ナルニアに入る。そして、危機の迫ったナルニアを救うべく大活躍する。

 それからまた普通の生活に戻るのだが、その時のピーターのセリフ。

「あーあ、すっかり遊んじゃったね。」

 というのが、ナルニアは真剣な遊びであるってことを表わしている。ま、遊びは真剣にやらないとつまんないしね。


 ではちょっと話をもどして、ナルニアに入った4人はナルニアから帰ってきてから、こちらの世界では1年しかたっていないのに、ナルニアでは何百年とたっていることにびっくりする。
 何か見覚えのある廃墟だなーと思っていたら、自分達が住んでいた城だった!


 ☆   ☆   ☆

 とはいえ、この話の主人公はカスピアン王子である。

 このシリーズを紹介するとき、聖書になぞらえてきたけど、この話は、あまり、聖書っぽくない。

 代わりにシェイクスピアっぽい。

 直接シェークスピアはあまり読んでいないが、(リア王ぐらい・・かな?)イギリス人の小説を愛読していると、自然にシェイクスピアの引用が目に入る。あらすじもなんとなく覚える。うろ覚えなので(調べるのも面倒なので)ちょっと違うかもしれない。

 王を名乗るミラースがカスピアンを殺そうとするあたり、王位継承をめぐって血なまぐさい、ハムレットを何となく思わせると思う。ミラースに自分の子が生まれたからだ。もっともこういった争いは、シェイクスピアというよりは、本家本元のイギリスの王家の歴史によくある話だ。

 ヴィクトリア女王が女王になれたのも、(比較的女帝が多いのも)、王位継承権を優先的に持っていたはずの王家の男性メンバーが殺しあったかららしい。殺しはしなくてもロンドン塔に閉じ込めたりね・・・。


  しかし、なんといってもシェイクスピアっぽいのは、そのミラース軍と戦うナルニア軍の木々が動くところだろう。

 ・・・マクベスだったかな?確か、魔女が出てきて(きれいはきたない、きたないはきれい)、権力を手にした男に、どっかの森が動かない限り安泰と言われてほっとする。森が動くわけないと思って。

 あ、アーデンの森だ!思い出してきた;;

 そしたら、敵の作戦で、森の木を兵士たちがそれぞれ持って進軍してきて、ダメだったというお話。

 ナルニアのは、ホントに木が動くわけだけどね、動物が人間の言葉をしゃべるんだから、木だって動きますって!

 ま、とにかく、ミラースを倒し、カスピアンを王位につけて、それをみんなアスランが助けてくれて、めでたしめでたし。