休日研究〜「リンボウ先生の閑雅なる休日」を読みました。

         林 望          集英社文庫

 

 閑雅(かんが)と読むそうである。井原西鶴を例にとり、俗を愛し、俗に身をおきながら流されずに楽しむということか。

 日本にも休み方を心得ている人がいると思うと実に嬉しい。


 エッセイ集で、とくにまとまりもないので、感想も適当に。

 イギリスに自然愛好家が多いのは、イギリスの自然が単純だから・・・というエッセイ。
 ま、日本のように蚊が強力でないというだけでも、イギリスの自然には好意が持てる。その分日本の自然は・・、河原で洋服の上から蚊に刺されたときは怒り心頭である!

 やはり、気候や環境というのは大きい。

 家に大きな地下室を造って書庫兼音楽室にして、家の中に異空間を造ったというのがうらやましい。これはやってみたい。新築の際は忘れないようにしないと。夜中にオペラとか歌っていらっしゃるとのことで・・。いいですねぇ。虫も歌ってるけどね。

 「食べたいものを食べる」はなにげないけど、食いしん坊にはたまらない。
 やっぱり、自分がおいしいと感じるものを食べるには自分でつくるのが一番である。煮魚とかそうめんとか、焼きなすとか。読んでいてつくりたくなった。
 別荘のある山梨県では、鉄火丼はしょうゆではなく、へんに甘いタレがついているそうだ・・・うーん、それはちょっとな・・・。
 料理をしてると、さて、これはどうやって食べたらおいしいんだろうと思う。リンボウ先生はその研究がすぐれている。

 イギリスのごはんは田舎にいけばいくほどおいしいとのこと。イギリスに行ったら、ロンドンなんてぇ都会はおいといて、田舎にいこう。ぼーっと運河を舟でいけるならなおよし。

 イギリスの不動産は安く、日本のは高い(この差は縮まりつつある)。それはなぜかというと、日本の不動産は立替え前提だから。イギリスでは原則的に古い家にそのまま住まう。
 日本でも最近は木造の家ばかりではないのだから、一旦建てたらそのまま住まうという頭になればもっと安くなるかもしれない。最近は地価の値下がりで下がっているけど。


 近代和歌の巨人、斉藤茂吉が、俳句は大の苦手であることが書いてあった。ま、誰でも得手不得手はある。

 風ひけば鼻ひりにけりいくたびも

 ・・・俳句にうとい虫であるが、駄作なことはわかる。
 小学生かよ!とつっこみを入れたくなる。

 鮟鱇(アンコウ)の皮の黒きを愛しけり

 はちょっといいかもと誉めてあった。リンボウさんもアンコウの皮が好きなので。


 ところでさすがにイギリス帰り。お茶の楽しみ方もイギリス人的である。
 これはポットになんとかフラッシュを入れて、茶葉が回転してから温めたティーカップに注ぎ分ける・・・といった事ではない。
 安いティーバッグで、大きいマグカップに。
 ただ沸きたてのお湯で入れるという点にだけこだわる。
 そのかわり、たくさん飲む。おおざっぱなイギリス人が、毎回そんな細かいこと気にするわけない!

 それでは、お茶でも飲もうかな。