「『脳』整理法」を読みました。

   茂木健一郎  ちくま新書

 世間の人々は、茂木センセーのような科学者に、「どうしたらいいの?」みたいな質問を問いかけるけど、科学は、可能性や統計的事実を提出することはできるが、それが、あなたにあてはまる・・・ってことは言えない。科学は万能ではない。

 

もともと、人間はつねに変化し続ける存在です。生れ落ちてから老い、やがて死ぬまで、よくよく観察してみれば、一時たりとも同じ状態にはいないのが人間です。

 そのような不確実性=偶有性を楽しもう。不安に思うのももっともだけど、根拠のない自信を持とう。それが生きる知恵というもの。もともと人間は偶有性に強く惹かれる性質を持つ。
 そう、人間は、常に変化する。【私】という存在さえも。そこを忘れてしまい、【私】とは(頭が悪い、見た目が悪い、などの過去の自分への評価)という存在だ。と決め付けてしまうことが不幸のはじまりだと思う。虫が思うに、そういう決め付けによって、可能性にチャレンジすることを人はやめてしまうから。そして、可能性にチャレンジすることが、幸福だと思うから。種だって、根をはり、草や木になって、花を咲かせた種は、幸福だけど、机の片隅でひからびた種は不幸だ。
 人間も自分の可能性に挑戦することが、幸福だと考える。そして、可能性にチャレンジした人は、さらに変化する。種も草になり、花を咲かせた種が原型をとどめていないではないか。
 
 
 もっとも、

人間にとって、他人は、この世界で出会うものの中で、最も大切な偶有性の泉です。

 他人は、次にどのような行動をとるのか、わかりそうでわからない。だれにも、隠された面があるから。他人とつきあうこと、特に可能性を追求し、〈幸福な〉他人と付き合うことは、脳の創造的なプロセスを高める。
 そういう人といきいきとしたコミュニケーションをとることは、どんなコンピュータより優れた人間の能力といえる。
 いい友達をさがさないとね! 

セレンディピティ:偶然の幸福に出会う能力。
  昔セレンディプ(今のスリランカ)の王子達が、「A」を捜し求めている最中に「B」に遇い、その結果幸福をつかんだ。
  つまり、捜し求める【行動】、出会いに【気づく】こと。そして幸福とはこうである。と決め付けず、出会ったものを虚心坦懐に評価すること【受容】が大切のようである。