「灯台」を読みました。

ーP・D・ジェイムズ  青木久恵訳  早川ポケットミステリ


 はい!待ちに待ったP・D・ジェイムズのアダム・ダルグリッシュ(以下AD)シリーズ最新作です!もう待ちすぎて、シリーズの前のやつ忘れちゃいましたよ。面白かったのは覚えてるけど・・・。ADは、読むたびに出世してますね。前は詩人兼警視だったのに、今や詩人兼警視長です。
 分厚いけど、一気に読む。これがP・D・ジェイムズを読むコツでしょう。面白いから一気に読めるんだけどね。
 孤島(出入りは事実上不可)のホテルみたいな口コミだけで持っているお屋敷で起こる殺人事件・・・実に古典的な舞台装置ですね。イギリスのミステリはこうでなくちゃ。
 その島を持っている変わり者の一族、一癖ありそうな使用人、単にその島で生まれたため、我が物顔で来る専制君主の作家(憎まれっ子は世にはばかるのではなく、殺されやすいのです。推理小説では・・・皆に動機があるから)
 警察の方もいろいろです。ADはプロポーズしようとしているし、ケイト・ミスキン警部もADに恋心をいだきつつ、他にもいろいろ。
 それにしても、灯台に死体がぶらさがっている光景はヴィジュアル的に忘れがたいですね。建物の美しさとか、きれいな刺繍もいい小道具だし。
 ベントンースミス部長刑事のロック・クライミングシーン、SAASにADが罹ってしまい、ケイトが重責をまかされるとか、後半動きが派手ですね。
 実の父親に冷たくされた私生児というのが、動機と明かされたあとで、ケイト・ミスキンも私生児であることが明かされる。もちろん、家庭環境が似ているからといって同様には論じえないが、やはり、家庭環境より、個々人の生き方の選択が重要なのではなかろうか。