「シャーロック・ホームズの生還」から短編4編読みました。

  1. コナン・ドイル   阿部知二 訳  創元推理文庫

【六つのナポレオン胸像】
 ナポレオンの胸像ばかりが壊されるという、一風変わった損壊事件から、大事件に発展する。謎を解き明かす時のドラマチックな演出、レストレイド警部との《ライバル》関係。ホームズ物の中では最も好きな短編の一つである。
 >>『君も覚えているだろう、ワトソン君、アバーネディ家の恐ろしい事件に僕がはじめて気づいたのは、暑い日にパセリがバターの中に沈んだその深さのおかげだったのだ。』
 ・・・って、どんな事件やねん?気になる気になる。気になって夜も寝られんわ・・・。もひとつ気になるのが、パセリがバターの中に沈んだ深さ。深すぎたのか、浅すぎたのか?いずれにせよ、暑い日のそこの状態ではありえない深さだったんでしょうね。
 こうやって、思わせぶりに他の事件に言及しているおかげで、シャーロキアンの議論の種がまた一つ増えるわけである。
【三人の学生】
 カンニング事件。この話はまあまあ。ちょっとネタバレになるかもしれないが、校庭におが屑が敷いてあるところになんか時代を感じる。
【金ぶちの鼻眼鏡】
 日本人の鼻の高さからして、鼻メガネなるものは、日本で一般的になりそうもない。それで、モノのイメージができず、わかりにくくなっている。
 もっとも、トリックはお得意のもの(でも虫はこの手の話は大好きである。これもイギリスの家ならではだけど)であり、謎解きもなんとなくメロドラマチック。典型的なホームズ物といえる。
【スリー・クォーター失踪事件】
 ケンブリッジ大学ラグビーチームという、さすがのホームズもよくわからない世界のため、なじむまでちょっととまどうが、後は普通の行方不明事件。
 この話の中で、郵便局のおねーさんから、電報の内容をうまーく聞き出すが、これってマズくないか?
 もっとも、出てくる若いもんの恋愛感情には、好感が持てる。