リアルドラゴン桜〜「脳を生かす!必勝の時間攻略法」を読みました

              吉田たかよし           講談社現代新書

 ドラゴン桜は、流行ったころでも読んでないけど、本のオビの文句をそのままいただいた。

 世の中には「時間の節約術」というのがたくさん出回っている。

 しかし、大切なのは、脳の有効利用であると、筆者はいう。脳の特質を生かして勉強をすれば、同じ時間の勉強量でも、効率がよく、やる気も出る。

 筆者は東大出身のお医者さんでありながら、NHKアナウンサー、衆議院公設第一秘書という毛色のかわった仕事を次々とこなす、ルネッサンスな方である。それぞれの資格をとる時に必要だった時間の活用法を公開し、さすがにお医者さんだけあって、脳の仕組みから、こういうことが有効なんですよとご教示してくれている。脳の仕組みまでわかってしまうという一石二鳥な本である。

ところで、いわゆる右脳開発には、ちょっと違うのではないかと指摘している。確かに、右脳は、空間の全体的把握や音楽鑑賞についてよく働く性質がある。しかし、その役割は固定されたものではなく、右脳も左脳も場合によっては、他方の脳の役割を果たすことが多い。さらに、くっつけて紹介される、アルファ波と右脳は別モノである。

 他の勉強法でも出てきたが、休むことの重要性は再度指摘されている。これは、脳梗塞が突然起こることとも関連する。脳は他の器官や身体の部分の疲れは、わかるのだが、脳自身の疲れはわからない。感覚神経が通っていないからだ。ついでに言えば痛みもわからないので、脳梗塞は恐い病気になるのだ。吉田氏自身、高校の時に、24時間耐久の勉強というル・マンのようなことを友達とやったらしい。ところが、科目名すら忘れる始末。30分に1回は、のびをして休み、90分に1回は休もう!

 この本の後半で集中力ってそんなに続かないから、15分ごとキッチンタイマーで(ほとんどの携帯に機能がある)時間を区切り、その間の集中力を自分で計るというのがあった。(自分で5段階評価)
 じゃあ、あわせて、15分ごとに休もう!と思ってやってみたが、モノによる。知識吸収系の勉強はそれでいいと思う。ただ、アウトプット系(書き物)は、やっぱり、1時間ぐらいはかかる。そういうときは、意識的にノビをするというのでよさそうである。よく、つかれた時にノビをするが、疲れる前にすると効果的で、海外の医学生が集まる会議で、インドの人に教わったそうである。

 さらに、勉強の時間帯だが、午前中が、ベスト!のようである。論理的な思考力を要する作業はということだが。午前10時から11時のお昼前がゴールデンタイムだそうである。この時間帯、全頭連合野という頭の思考力を司るところが活発になるから。

 但し、暗記物は寝る直前。記憶をする作業は冷凍食品をつくるのに似ている。夜寝ているときに冷凍作業(記憶する作業)が行われるので、眠る寸前にすれば、料理直後の新鮮なものを冷凍できるからだそうである。

 また、夕方以降は社交に適している。副交感神経が活発になり、情緒的になるそうだ。

 なお、タバコを吸うと一時的に頭がスッキリするように感じるが、これは、ニコチン中毒によって日頃の脳活動が低下しているため。借金漬けの人が、クレジットカードの借り入れで、一時的にうるおうようなものだ。(そこだけ上がるのではなく、他が下がる)

 また、起きている時間を充実させるために重要なのは睡眠であろう。

 これも、寝酒・・・眠るためにお酒を飲むのは、眠りが浅くなるのでおすすめできないとのこと。吉田氏は、下戸なのに、むりやり酒をなんでいた・・・、下戸ならなおさら無理することあるまい。
 とはいえ、お酒にはリラックス効果があるので、適度に飲むのは全く問題ない。

 お風呂は(寝る前は)ぬるめ、部屋も真っ暗ではなく、月明かり程度がよいとのこと。

システム手帳勉強法」というのは、なんのことはない、予定をチェックするふりして職場でも勉強できるというもの。
 人の予定ものぞきたがるようなヤツと一緒の場合は使えないけどね。

 そして、本の虫だから・・ではないが、本の代金は惜しんではならない。とおっしゃる。
 2割も読めば、充分モトが取れる。セミナーとか高いからね。

 もっとも、図書館や、本屋(つまり立ち読み)でもいいと思う。買うと好きなところで読めるし、アンダーラインとかの書き込みができるから、もっといいけど。(図書館では、これは!と思うページだけコピーできる)