「オールド・ディック」をまた読みました。
L・A・モース 石田善彦訳 早川書房
主人公の名前が、ジェイク・スパナーなのに、オールド・「ディック」とはこれいかに?
辞書(ネット)で調べてみると、DICKとは、探偵、そして、ぺ○○という意味があった。
76歳ではあるが、ジェイクは両方の意味で、現役の働きを見せる。たいしたもんである。
ジェイクは、しょうもない三文探偵小説を読むとか、マリファナ(自家栽培)を吸うといったちょっとした癖もあるが、何と言っても、何事も新聞の見出しで考えるという面白い癖がある。
【J・スパナー。昨夜極辛のブリトーのため急死】
そうそう、辛いもの大好きなのに、単に年だからといって医者が止める。もちろん、無視する不良老年であった。
【J・スパナー。頭を麻痺させようとして、成功】
なぐられた頭を冷やすために氷嚢をつくり、それがこぼれたのである。
もう年だから、ちょっとラクさせようという考えは、作者には一切ないらしい。ハ−ドボイルドの普通の「若い」探偵そこのけである。頭をなぐられた後、FBI、マフィアとそれぞれ「可愛がられ」て、普通なら、それぞれ2週間ぐらいは寝込むところである。
長生きはしたものの、年金もなく、減っていく一方の貯金、インフレに悩まされ、苦しい日々を送るジェイクが、昔、刑務所に送り込んだ老悪党からの依頼を受ける。
それにしても、老後に備えんとな・・・、これを読むたび思う虫。やっぱり、持ち家を目指すというのは、賢い!家賃はインフレで上がるから。例えわずかでも、年金をもらうしかない。物価の安いアメリカでさえこうなんだから、日本じゃ、ホームレス間違いないわな。ドッグフードとか食いたくないし。
そんな、老人に冷たいアメリカで、出てくる老人キャラの愛すべきこと!ジェイクをはじめ、イッチー、ビッチー(あと一人なんだっけ)の老いたオカマさんたち。元刑事のオブライエン。(老人ホームを「いきいきと」させることに情熱を注いでいる)そしてもちろん、依頼人の老悪党「サラミの」サルである。このあだ名は、サルの持ちモノに由来するらしい。