家出をするなら・・・〜「クローディアの秘密」を読みました。

            E・L・カニグズバーグ 松永ふみ子訳  岩波少年文庫

  子どものころ、いや今でも家出をしたいと思ったことはないだろうか。

 虫も家出をしようと考えたことはあるが、未だ実行には至っていない。もっとも、本屋や図書館に行くと帰る時間を忘れてしまうので、ある意味プチ家出だったかもしれない。

 家出をするのはいいが、大事なのはその後である。どこでどうやって生活をすればいいのか。資金はどうするのか。

 家出をした少年少女は犯罪にまきこまれる危険も高い。大人の場合はホームレスになる危険も高い。それはゴメンである。

 この本も、小さい頃に読み、大人になってからの再読である。

 最初に読んだ後、図書館や博物館や美術館に行った後、そこに住む方法を考えたのを思い出す。クローディアは家出をするのだが、その後が素晴らしい。実に計画性のある頭のいい女の子である。なんと彼女はメトロポリタン美術館に家出するのである!

 なんと魅力的な考えだろう。もともと人が住むことを予定していないという不便さはあるものの、清潔だし、雨風は防げる。それに大昔のベッドもある。

 もっとも、最近親子でデパートに住む話を読んだが、これもいい。チャップリンの映画でやはりデパートに住むというのがあった様な気がする。日本の映画だと思うが、住宅展示場に住んでる家族の話があったと思う・・・。

 貧しいといろいろ知恵と工夫が湧いてくるのだ。

 それはさておき本筋に戻ると、クローディアは人生で何が欲しいのかわからなかった。家出はその試みの一つである。

 偶然出会った富豪の老婦人がクローディアの人生に必要なものを発見する。それは秘密だった。

 ミケランジェロの謎をからめて、クローディアはその秘密とともに家に帰る。そうそう、家出は弟と一緒だった。